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はじめに・・・
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皆さまとご一緒に、古伊万里のこころと美をさぐる第1夜のテーマとして、私、金子昌司は「皿」を選びました。ここでご紹介する10枚の古伊万里の皿たちは、源右衛門窯『古伊万里資料館』の収蔵品から選んだ磁器たちです。資料館のコレクションは、亡父(6代舘林源右衛門)が生前、精力的に集めたもので、さらにその後も現在に至るまで、少しずつ買い足してきました。古伊万里のコレクションは、1,000点ほどですが、その中から今回は特に皿を選んでお話ししたいと思います。
私どもの古伊万里資料館の収集品は、実は一般の愛好家の方々が集められる古伊万里とは少し意味合いが違っております。まずその話から始めたいと思います。源右衛門窯では、ずっと以前より「古伊万里のこころ」を提唱してきました。江戸時代の先人陶工たちがつくりあげた技や、磁器づくりに込めた心を、現在の私どもが、同じものづくりに携わっている人間として忘れないように、という意味があります。
さらに、昔の技術を今に伝えながら、そこに、もう一つ新しい何か(価値)を付け加えて、現在の暮らしの中に提案したい、という願いも込めているのです。
こうして、時代・時代の陶工たちの心意気が伝わる「古伊万里」を資料として収集しているのが源右衛門窯『古伊万里資料館』の特徴で、世にいう名品は、あまり持っていないのが実情です。完品にもあまりこだわっていません。
資料的価値ということで集めておりますので、中には修理がはいっている器もあります。今回、その中からお皿を選んだのには理由があります。今も昔も同じなのですが、やきものの世界では、作っている中で一番数が多いのが皿の類で、食卓に上る機会が多いのです。
また平面でできていますので、もっともデザインしやすいのが、実はお皿なのです。私も今、やきものの作り手としてデザインしていて、特に文様を表現する上で、皿は思いを込めやすい対象だと実感しています。皿には有田の時代の変遷が色濃く残っています。そこで源右衛門窯「古伊万里資料館」の収蔵品の中より、歴史を追い、また技法を追った10枚の皿の物語を、お話しいたします。 |
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