磁州窯遺跡
■珍しい磁州窯文様に感動

日目

磁州窯跡
磁州窯跡
安氏コレクション
安氏コレクション
元代の窯跡
元代の窯跡
邯鄲のホテルを発ち、磁州窯遺跡のある磁県観台鎮、彭城鎮へ向けて出発。距離的には大した事はないのですが、道路事情が悪く時間がかかりました。

磁州窯の歴史は北宋に遡るといわれますが、ここ観台鎮は「磁州窯」の中心的窯場でした。現在は一面が畑地となった丘陵で、いたる所から陶片や窯道具が顔を見せており、当時の活況が窺えます。ここの操業期の下限は元代であるとのことです。

「磁州窯」といえば生地や全面に白化粧した上に黒顔料を塗り、文様を箆彫りにした後に周囲を掻き落とす白地黒掻き落とし技法が有名です。その他にも白掻き落とし、白地鉄絵等の単色のものから、緑釉や赤絵まで多岐にわたっています。画題としては牡丹唐草のバリエーションが豊富で、鳥や動物、魚なども多く描かれています。そのどれもが奔放で力強く、いかにも民窯の魅力に溢れています。 「定窯」とは距離も近く、「けい州窯」と同じルーツを持ちながら、相対するここ婀「磁州窯」と「定窯」という二つの窯を見ると、中国陶磁の奥深さを実感できました。見学を終えた後、彭城鎮へ移動。ここでは現代の磁州陶器を造っている安氏の工場を見学。彼は古磁州陶器を再現するために、積極的に窯跡を探索しており、陶片も多数所持しています。

実は今回の旅行では、できるだけ多くの磁州窯文様を収集する事を目的の一つに決めていたのですが、氏の厚意で何点かの陶片を写真に撮らせてもらいました。初めてみるような物もあり感激。また、氏は製作の際に、元代の窯跡から出土した弁柄(酸化第2鉄)を黒顔料として使用する事もあるとのことでした。因みにその窯跡の一つは工場のすぐ裏手にあり、我々も早速見学に行きました。

窯跡本体はまだ埋め戻されておらず、地表から焼座までは4〜5m程。天井は落ちていますが形態はこのあたりでよく見られる饅頭窯です。焚口が良く残っており、焼き物製のロストルや燃料の石炭カスが出土していました。700〜800年前の遺物が4〜5mもの地底に埋もれているのは、恐らく河川の氾濫による土砂の推積かと思われます。その災害のおかげで、これ程きれいな状態で残っている窯跡を我々が実見できたことに、大自然の皮肉を感じました。 邯鄲市内に戻り、個人の焼き物コレクター宅を訪問。職業はヘリコプターのパイロットとの事。中国では今、高額所得者の間で骨董がブームになっているのです。
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器に学ぶ世界の古窯めぐり中国・白磁の旅