北京・故宮博物院と定州市博物館
■北京からバスで250キロの「定州博物館」へ 1日目
定州博物館
第1日目は、北京の「故宮博物院」にて陶磁館を見学。前回(15年程前)に訪れた時より展示品の数と質が充実していました。その後、市内の骨董品市場(古玩城)を訪問。ビルの2フロアーに数十件の小さな骨董店が軒を並べていて、中にはやきものや緞通などの専門店もあり、中国における骨董ブームの一端を見ることができました。ただし、やきものだけをみれば、贋作が圧倒的に多いことに気付きました。

その後、河北省定州市へ向け出発。北京から河南省鄭州までは高速道路がほぼ完備されていて、定州までの約250kmの道中は快適でした。

「定州市博物館」での見所は、1969年に定州市の静志寺舎利塔塔基と浄衆院舎利塔塔基から出土した、大量の北宋初期の定窯白磁で、これは塔を建立した際に収められたものです。特別展示室で盛期以前の「定窯」の特徴をじっくりと観察できました。盛期との大きな違いは、陰刻文字が片切り彫りではなく釘彫りに近い事。そのために、やや流麗に欠けてはいますが、器形の鋭さはすでに完成の域に達しており、その手取りの軽さに参加者一同感嘆しました。釉色もやや黄みを帯びた、いかにも「定窯」という品が多くみられました。

この釉色については、窯の燃料に“石炭”を使用するため、“薪”と比べて炎が短くなり、窯内の雰囲気が酸化するためという説がありました。私も窯内の雰囲気は還元状態でも、石炭の硫黄分が影響しているのではないかと考えていました。しかし、宋小凡氏の話では素地や釉薬を化学分析したところ、チタンが検出されたとの事です。

実は、源右衛門窯の黄白磁釉も、先代の指示で「定窯」の釉薬を再現するために調合したもので、薪窯の還元焼成で黄色を出すためにチタンを配合しています。今回の訪問で、「定窯」の釉薬に関しても燃料の違いによるものではないという確信を得ることができました。
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器に学ぶ世界の古窯めぐり中国・白磁の旅