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源右衛門窯にほど近い龍門峡。巨岩・奇岩がそそり立って、どこか中国の桂林を偲ばせる風景です。
この地に、川魚料理の『龍水亭』が開業したのは大正10年。今は三代目の徳永英輔さんが伝統の味を守っています。
『龍水亭』の“鯉のあらい”は、一見して色が違います。天然飼料で育てた4〜5年ものの鯉を、こんこんと湧き出る岩清水の中に放って四カ月。澄みきった硬水のなかで油分が抜け、清められた鯉の身は驚くほど淡泊で歯ごたえがあります。源右衛門窯の染付けの大皿に盛られたあらいの淡紅色が目に鮮かです。
通常なら2〜3年ものの鯉ですむところを、「肉質をキメ細かに仕上げる」ために昔ながらの手法を守っているそうです。鯉の他にもヤマメや、つがに(川蟹)など天然の素材にこだわり、鯉コクなどに使う味噌もすべて手づくりなのです。
そして、料理に対する自分の思いにふさわしい器はこれしかないと、趣味の域を越えて集めた源右衛門窯の器に、さりげなく料理を盛りつけて出すそうです。
黒髪山の岩清水が育んだ鯉と、陶石と松の炎が生んだ源右衛門の磁器。日本の磁器の発祥地・有田『龍水亭』には、自然の生命同士の、出会いの歓びがあります。
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どこか中国を思わせる竜門峡
ご主人徳永英輔さん
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